自分にとっての贅沢とは、誰もいないこんな場所でひとりきりで、誰にも邪魔されずにのんびりと過ごすことです。バイクで旅をするようになった頃に買った道具のいくつかは今も現役で、例えばこの椅子はあるホームセンターで500円で手に入れました。二十六、七年前です。それなりに重くもありそんなにコンパクトになるわけでもなく、でも丈夫で座りやすい。

この日はここで豆を挽いてコーヒーを飲みました。小川が流れていて水の音と野鳥の鳴き声を聴きながら、木々の間から空を眺めて過ごしました。少しだけ散歩をしたり山の斜面を登ってみたりもしました。ルリタテハという綺麗な蝶が愛車のタンクに止まって休んでいるのも見ました。

全てを忘れてただのんびり、僅かな時間ですが自分のために。

またそのうち天気の良い日に、ひとりでふらりと出かけます。